OLYMPUS PEN   初代オリンパスペンの実力

新入社員に与えられた課題
発売は昭和34年(1959年)10月。
当時の最も安いカメラが23000円、オリンパスに入社したての米谷美久氏に与えられた課題は、6000円のカメラを設計する事であった。普通考えればこれはおもちゃカメラを設計するに等しい事である。これを実用カメラするにはどうすればいいか?レンズの性能は落としたくない。できたらライカのサブカメラになるものを作りたい。必然的にレンズ以外の部品点数を少なくするしかない。手軽に持ち運びできるサブカメラ、そう考えるとハ−フカメラという答えとなった。
この辺の諸事情はあまりにも有名なので、詳しい事は割愛させていただくが、要するに会社としては、入社前にすでに距離計連動の特許を持っていた新入社員米谷氏は生意気盛り。少し頭を冷やさせようと難題を与えた、、、というのが本当のところではないかと思う。しかし、そこはさすが天才設計者、見事にクリアし、後にオリンパスのドル箱となるペンを開発したのである。

デザインも最初はデザイン専門の事務所に依頼したが、何しろ値段が安いので、どうしてもおもちゃカメラというデザインになる。結果としてデザインも米谷氏が担当し、今のデザインが出来上がる。このデザインを最初に見た当時の故桜井栄一常務、「これは売れる」と言ったそうである。
その後のペンの発展を見ると、いかにこのカメラが優れていたかがわかるというものである。とにかくレンズがすばらしく、コストはほとんどレンズにかけられ、残りは削れるだけ削ったというカメラである。

みのかんの初代ペン
これは1年位前にやっと購入したものである。どうしても欲しかったカメラである。というのはこのカメラ、僕の誕生日に一番近い発売なのである。昭和34年の9月末の生まれだからほぼ初代ペンと同じになる。
もちろんペンはすでに5台ほど所有していたので、ペンそのものは珍しくなかったが、この初代ペンはなかなか手に入らなかった。当然中古価格も高く2万円以上があたりまえ。とてもじゃないけど手が出せない。
ある時ヤフオクで6000円のジャンク扱いが出ていたので入札。結局競い合って9000円で手に入れた。

機能はまったく問題なくレンズも綺麗だったが、外観がぼろぼろ、磨き上げると綺麗にはなったが、ペイントのはがれはどうにもならない。思いつきで白と黒の2色の水生ペイントを購入し、2色を少しずつ混ぜ、オリジナルのグレ−を作り、はがれたところを自分で塗った。
上の写真を見てもらえばわかるとおり、でこぼこは多少はあるものの、かなり見られる外観になったのではないかと自負している。

このカメラに付けられたレンズの写りは素晴らしく、十日町の情報館で行ったハ−フだけの大全紙の写真展でも、その写りの良さは実証された。こんなレンズを付けたペンが当時売れないはずがなく、ペンのブ−ム、ひいてはハ−フ時代を築き上げた発端は、このレンズがあったからだと断言してもいいと思う。

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